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2023年4月29日 第97回日本感染症学会総会・学術講演会と第71回日本化学療法学会学術集会 合同学会にて講演


「日本の今後の感染症対策について」


第97回日本感染症学会総会・学術講演会と第71回日本化学療法学会学術集会の合同学会で、吉田正樹教授(東京慈恵会医科大学)よりお声かけいただき、「新型コロナウイルス感染症を経験した日本における今後の感染症対策について」という演題で講演させていただきました。


私は新型コロナウイルス発生当初、厚生労働大臣政務官を拝命しており、当時の加藤勝信厚生労働大臣の命により横浜港に接岸したダイヤモンドプリンセス号に3週間に渡って乗船し、現場の陣頭指揮に当たらせていただきました。


日本で初めての新型コロナウイルス感染症の大規模な集団感染を経験し、下船後、隔離期間中に私がまず考えたことは保健所などの業務が従来の電話、FAXでのやりとりではこのウイルスの感染速度に対応しきれないだろうということでした。そのため、ワンクラウドで感染者本人から健康状態の入力が可能で国・都道府県・市区町村・医療機関において横断的に患者の健康情報の共有が可能なシステム(HERSYS)の立案・実装に取り掛かかりました。同時に、当時は医療物資や新型コロナに対応可能な医療スタッフも限られていたことから、それらの一元的な把握が可能なG-MISの構築にも携わりました。


本邦においては現場の皆様のご尽力によりリスクの高い高齢の介護施設入所者の死亡率は世界でもトップクラスに低く、重症者のECMO離脱率も世界的にみてもかなり高い水準となっています。


新型コロナウイルスが出現してから3年以上が経過し、その病原性等が一定程度判明してきた現在では感染者の全数把握、積極的疫学調査、入院措置、濃厚接触者の行動制限、在宅療養者への健康観察、水際措置、ワクチン・治療薬の開発状況など様々な面において対応が進み、外出自粛や飲食店・イベントに対する要請・水際対策などもほとんどの状況において緩和されてきています。


しかしながら、今後の国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及びまん延に備えるため、国や都道府県及び関係機関の連携協力による病床、外来医療及び医療人材並びに感染症対策物資の確保の強化、保健所や検査等の体制の強化、情報基盤の整備、機動的なワクチン接種の実施、水際対策の実効性の確保等の措置が必要不可欠です。


先般の第210回国会(令和4年臨時会)で可決された次の感染症危機に備えた感染症法等の改正として提出された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案」では、感染症発生・まん延時における保健・医療提供体制の整備等、具体的には

(1)感染症対応の医療機関による確実な医療の提供、

(2)自宅・宿泊療養者等への医療や支援の確保、

(3)医療人材派遣等の調整の仕組みの整備、

(4)保健所の体制機能や地域の関係者間の連携強化、

(5)情報基盤の整備、

(6)物資の確保、

(7)費用負担について、

また、そのほかに機動的なワクチン接種に関する体制の整備等と水際対策の実効性の確保に関する改正が行われました。


本講演ではこれまでの政府による新型コロナウイルス対応の概要と今回の法改正の要点や今後の日本に求められると考えられる感染対策の備えについて述べさせていただきました。


また本学術集会にて、初動から一緒にお仕事させていただいた先生方と再会し、感謝に堪えません。気持ちを新たに今後も感染症対策を国会議員・医師として責務を果たしたいと思います。




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